親子で楽しく!キッチンから始めるSDGs「食品ロス削減」実践ガイド
SDGs(持続可能な開発目標)と聞くと、少し難しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は私たちの身近な生活、特に毎日使うキッチンから始められるSDGsがたくさんあります。今回は、ご家庭で親子一緒に楽しみながら取り組める「食品ロス削減」に焦点を当て、具体的な実践アイデアをご紹介します。
はじめに:なぜキッチンからSDGsを始めるのか
毎日慌ただしい日々を送る中で、SDGsのために特別な時間を作るのは難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、キッチンでのちょっとした工夫は、忙しい中でも無理なくSDGsに貢献できる身近な一歩となります。お子さんと一緒に「もったいない」を意識し、食べ物を大切にする心と、世界に目を向けるきっかけを育んでいきましょう。
SDGsってなあに?:食品ロスとSDGsのつながり
SDGsには17の目標がありますが、食品ロスは特に以下の目標と深く関わっています。
- 目標2:飢餓をゼロに 世界では十分な食料があるにも関わらず、約8億人もの人々が飢餓に苦しんでいます。食品ロスを減らすことは、食料の公平な分配を考えるきっかけになります。
- 目標12:つくる責任 つかう責任 食料の生産には、水やエネルギー、土地などの貴重な資源が使われています。食べられるはずの食料が捨てられることは、これらの資源の無駄遣いにつながります。食品ロスを減らすことは、資源を大切にすることです。
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことです。日本だけでも年間約523万トン(2021年度推計)もの食品ロスが発生しており、これは世界中で飢餓に苦しむ人々への食料援助量の約1.2倍にも相当すると言われています。ご家庭で食品ロスを減らすことは、地球の未来と世界の誰かの命を守る行動なのです。
今日からできる!親子でキッチンSDGs実践アイデア
ここからは、ご家庭で手軽に始められる食品ロス削減の具体的なアイデアを3つご紹介します。
1. 「冷蔵庫探検隊」で食品ロスゼロチャレンジ
お子さんと一緒に冷蔵庫の中を「探検」して、食品ロスを減らすミッションに挑戦してみましょう。
- 準備物: 冷蔵庫、紙とペン、シールやマグネット(任意)
- 所要時間: 10~15分程度
- 実践ステップ:
- 「賞味期限・消費期限」を確認するゲーム: 冷蔵庫の中の食品をチェックし、それぞれの期限をお子さんと一緒に確認します。「早く食べないといけないものはどれかな?」と問いかけ、期限が近いものから先に使う意識を育てます。
- 「冷蔵庫マップ」を作ろう: 紙に冷蔵庫の簡単な絵を描き、中の食材をリストアップします。何がどこにあるか、目で見てわかるようにすることで、買いすぎを防ぎ、使い忘れをなくすのに役立ちます。
- 「へんしんレシピ」に挑戦: 少しだけ残った野菜や、余りがちな食材をどう使うか、お子さんと一緒にアイデアを出し合います。例えば、残り野菜で「ごちゃまぜスープ」や「野菜たっぷりチャーハン」を作るなど、新しい料理に生まれ変わらせる楽しみを見つけましょう。
2. 「食べ残しゼロ!感謝の食卓」を習慣に
食卓を囲む時間は、食べ物への感謝を育む大切な機会です。
- 準備物: 食材、調理器具
- 所要時間: 調理時間+食事時間
- 実践ステップ:
- 「いただきます・ごちそうさま」に心を込める: 食事の前に「いただきます」、食後に「ごちそうさま」を言う際に、「この食べ物が私たちのもとに届くまでに、たくさんの人や地球の恵みがあったね」といった言葉を添えてみましょう。
- 「世界のごはん」に触れる: 時に、食卓に世界の料理を取り入れてみませんか。例えば、余った野菜をたっぷり使った「インドのカレー」や、ご飯を無駄なく使う「スペインのパエリア」など、異文化の食習慣から食品ロス削減のヒントを得ることもできます。料理を通じて、その国の文化や環境について話すきっかけにもなります。
- 「ちょうどいい量」を意識する: 食べ残しをなくすため、お子さんの年齢や食欲に合わせて、最初から盛り付ける量を調整するようにしましょう。「食べられる分だけ」という意識は、食料を大切にする第一歩です。
3. 世界の食卓に思いをはせるヒント
キッチンでの実践だけでなく、一歩踏み込んで国際的な視点を取り入れてみましょう。
- 準備物: 世界地図、地球儀、食料や飢餓に関する絵本、インターネット環境
- 所要時間: 10~20分程度
- 実践ステップ:
- 「食べ物の旅」を追ってみよう: 食卓に並んだ食材がどこから来たのか、お子さんと一緒に世界地図で調べてみましょう。「このバナナはフィリピンから来たんだね」「このお米は日本の田んぼで作られたんだよ」といった会話を通じて、食料が国境を越えてやってくること、生産者の存在を感じることができます。
- 絵本で「世界の飢餓」を知る: 子ども向けの絵本の中には、世界の食料問題や飢餓について分かりやすく描かれているものがたくさんあります。絵本を読み聞かせながら、食料が公平に行き渡らない現状について、お子さんの発達段階に合わせて話してみましょう。
- 「フードバンク」について調べてみる: 日本や世界で行われている、まだ食べられるのに捨てられそうな食品を回収し、食料を必要としている人々に届ける「フードバンク」の活動を紹介しましょう。「自分たちの家庭でできること以外にも、たくさんの人が食料を無駄にしないために活動しているんだね」と、社会貢献の意識を育みます。
まとめ:小さな一歩が未来を変える力に
SDGsへの取り組みは、特別なことばかりではありません。ご家庭のキッチンで、親子一緒に食品ロスを減らす意識を持つことから、未来を変える大きな一歩が始まります。
忙しい毎日の中でも、今日ご紹介したアイデアは、少しの工夫と意識で実践できるものばかりです。お子さんが楽しみながら「もったいない」を学び、食べ物を大切にする心を育むことは、国際社会の一員としての豊かな感性を育むことにもつながります。
完璧を目指す必要はありません。できることから少しずつ、親子で一緒にSDGsを実践する喜びを感じてみてください。